この記事で言いたいことは1つだけ。
モバイルバッテリーの発火は、使い方より製品側の問題で起きている。
だから商品ページで見るべきは 「届出事業者名:〇〇」の1行。
理由と、その1行がある製品を以下に書く。
発火の8割は、買った時点で決まっている
国の機関であるNITE(製品評価技術基盤機構)が公開しているモバイルバッテリーの事故は 560件。うち調査が終わって 原因が特定できたのは71件 で、内訳はこうなっている。
| 原因 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 製品側(設計・製造・品質管理) | 58件 | 81.7% |
| 使い方(誤使用・不注意) | 7件 | 9.9% |
| 製品に起因しない | 6件 | 8.5% |
製品側は、使い方の8.3倍。
「充電しっぱなしにしない」で防げるのは1割しかない。残りは買う時点で決まっている。だから対策は使い方ではなく選び方になる。
(残る489件は「原因不明」84件と「調査未確定」405件。上の割合は特定できた71件の中での話)
燃えた製品の4件に1件は、作った会社が分からない
では何を基準に選ぶのか。560件を見ていて引っかかるのが、事業者名の欄が空白か「不明」の事故が142件(25.4%) あることだ。型番も129件(23.0%)が不明。
とくに ネット通販で買ったと書かれた81件では、93.8%にあたる76件で製造元が分かっていない。
ネット通販で購入したモバイルバッテリーを充電中、モバイルバッテリー付近から異音がして出火し、周辺を焼損して、指に火傷を負った。
事業者名の欄は「不明」。製品側が原因と判定された58件に絞っても、39件は誰が作ったのか分かっていない。
リコールは、名前のある会社しか出せない
同じデータベースにあるリコール39件を見ると、並んでいるのはこういう会社だった。
アンカー・ジャパン、小米技術日本(Xiaomi)、エレコム、レノボ・ジャパン、ベルキン、イケア・ジャパン、日本ヒューレット・パッカード、CIO、ノジマ、全日空商事、ポケモン ほか
2025年10月にはAnkerがリコールを公表している。セル製造の委託先で特定時期に異物が混入した可能性がある、という内容だった。
つまりリコールは「悪い会社が出すもの」ではない。型番とJANコード単位で告知されるため、誰が輸入・販売したかが登録されている製品でしか成立しない。
事故の4件に1件で事業者名が分からない。そういう製品を持っている人には、問題が見つかっても知らせが届かない。
だから、この1行を見る
電気用品安全法により、モバイルバッテリーには PSマークと届け出た事業者の名前の表示義務がある。商品ページにはこう書かれている。
届出事業者名:株式会社MOTTERU PSマークの種類:PSE
楽天で売れている18台を確認したところ、17台がこの1行を書いていた。書いていなかったのは1台だけで、それは商品説明そのものが空だった。
一方 「PSE」の3文字は18台すべてが書いている。PSEの有無を見ても選び分けにはならない。差がつくのは会社名まで書いてあるかどうか。
ほとんどの製品が書いているのだから、書いていないものを外すのは難しくない。
事故の届出が多い会社ほど、危ないのか
先に断っておきたいことがある。以下で挙げる製品には、NITEに事故が届け出られている会社のものも含まれる。
560件のうち事業者名が判明しているのは418件で、その上位はこうなっていた。
アンカージャパン 60件/ティ・アール・エイ 24件/エレコム 13件/CIO 13件/明誠 11件
全部、名前のある会社である。当たり前で、名前が分からない製品では事業者名の欄が空白になる(142件)。件数の多さは、危険さではなく追跡できていることの裏返しになっている。
そのうえで2つ補足する。
- 販売台数あたりの率は公開されていない。シェアが大きいほど件数は増えるので、社名同士の比較には使えない
- 上記3社に届け出られた事故は、いずれも「調査未確定」か「原因不明」で、製品起因と判定されたものは1件もない(2026年8月30日時点)
だから以下のボタンには、その会社がNITEの記録にどう出てくるかをそのまま書いた。件数の少なさで順位をつけていない。見てほしいのは、問題が起きたときに記録が残る会社かどうかのほうだ。
会社名と型番の両方が分かる4台
上の条件を満たす製品を用途別に挙げる。価格・レビューは2026年8月30日時点の楽天市場の表示。
Philips DLP5713C型番が商品名に入り、充電回数も「iPhone 16 を約1.8回」と機種名つき。届出事業者名:Richgo株式会社¥3,100 ★4.51 (915件)NITEの記録:リコール告知 0件/事故の届出 1件(うち製品起因と判定 0件)楽天市場で価格を見る
MOTTERU MOT-MB10001174g。型番と容量36Whを明記。カバンに入れっぱなしでも軽い。届出事業者名:株式会社MOTTERU¥2,990 ★4.6 (2,073件)NITEの記録:リコール告知 0件/事故の届出 0件楽天市場で価格を見る
Anker Power Bank (10000mAh, 30W)30W出力で充電待ちが短い。リコールを型番単位で公表した実績のある会社。届出事業者名:アンカー・ジャパン株式会社¥5,990 ★4.47 (516件)NITEの記録:リコール告知 4件/事故の届出 61件(うち製品起因と判定 0件)楽天市場で価格を見る
aidort 10000mAh179g。1台目を安く用意するとき用。届出事業者名とPSマークを明記。届出事業者名:明誠株式会社¥1,980 ★4.33 (17,268件)NITEの記録:リコール告知 0件/事故の届出 11件(うち製品起因と判定 0件)楽天市場で価格を見る
買ったあと、1回だけやること
NITEのデータベースは誰でも無料で検索できる。手元の型番を入れて、リコールが出ていないか1回調べる。
- NITE SAFE-Lite:https://safe-lite.nite.go.jp/
1分で終わる。充電のたびに火が出ないか気にしながら過ごすより、買った直後に1回調べるほうが早い。
次の疑問
560件のうち 287件(51.2%)は充電中に起きていた。充電中に何が起きているのか。事故通知の文面を分類して、次に数える。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。事故・リコール情報は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が公開する「SAFE-Lite」を2026年8月30日に検索した結果(事故560件・リコール39件を全件取得)に基づきます。商品側は楽天市場で「モバイルバッテリー 10000mAh」を6,000円以下・レビュー件数順に検索し、用途が違うものを除いた18台の商品説明を照合しました。価格・レビュー件数は同日時点の表示です。
