モバイルバッテリーの箱には、「10000mAh」「20000mAh」「45800mAh」と大きな数字が書いてある。
ところが、飛行機に持ち込めるかどうかは、この数字では決まっていない。
Yahoo!知恵袋で「モバイルバッテリー 飛行機 持ち込み」を検索すると、1,571件の質問が出てくる。
上位には、こんな質問が並んでいた。
「5000mahのモバイルバッテリーを飛行機内に持ち込むことはできますか?」
読者は箱の数字(mAh)で聞いていて、ルールは別の数字(Wh)で書かれている。その間を早見表でつないだ。
この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。紹介した2つの価格・レビューは2026年9月17日9時台の楽天市場のものです。売り場の件数は、楽天市場で2026年9月12日1時台に集めた出品で数えています。
箱の数字で、持ち込めるか分かりますか?
目安なら分かる。箱の数字を、ルールの数字に直せばよい。
- mAh(ミリアンペアアワー)……電池にためられる電気の量。箱に大きく書いてある数字
- Wh(ワットアワー。国土交通省の資料では「ワット時定格量」)……飛行機のルールが使っている数字
国土交通省は、直し方をこう示している。
「ワット時定格量(Wh)=定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000」
定格電圧(V)は、電池の電圧である。箱に書いていないことが多いので、下の表は3.7Vで計算した目安にした。国土交通省の資料の例も、「定格容量:27,000mAh」「定格電圧:3.7V」を「99.9Wh」としている。
| 箱の数字 | Whの目安 (3.7Vで計算) |
飛行機 |
|---|---|---|
| 5,000mAh | 18.5Wh | 持ち込める |
| 10,000mAh | 37Wh | 持ち込める |
| 20,000mAh | 74Wh | 持ち込める |
| 27,000mAh | 99.9Wh | 持ち込める |
| 30,000mAh | 111Wh | 持ち込める (100Whを超える。 下の表) |
| 40,000mAh | 148Wh | 持ち込める (100Whを超える。 下の表) |
| 45,800mAh | 169.5Wh | 持ち込めない |
| 50,000mAh | 185Wh | 持ち込めない |
| 60,000mAh | 222Wh | 持ち込めない |
持ち込めるかの線は160Whで、3.7Vで計算すると43,243mAhにあたる。
⚠️ 3.7Vは目安で、電池によって電圧は違う。メーカーが自分でWhを書いている例と比べると、3.7Vの目安は少し高めに出ていた。
- MOTTERUの10000mAh(MOT-MB10001)……メーカーの公式ページは「バッテリー容量36Wh」(3.7Vの目安では37Wh)
- AnkerのAnker Prime Power Bank(27650mAh)……Anker(米国)の公式ページは「99.54Wh」(3.7Vの目安では102.3Wh)
同じ160Whの線も、3.6Vで計算すると44,444mAhになる。∴ 43,000〜45,000mAhあたりの製品は、電圧しだいで線をまたぐ。この範囲なら、本体に印字されたWhか、定格電圧を見て計算する。
ルールは、何が変わりましたか?
国土交通省の発表(2026年4月14日)は、変わった点をこう書いている。
「機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで」
あわせて、機内でモバイルバッテリーを充電すること、モバイルバッテリーから他の機器を充電することも禁止になった。始まったのは2026年4月24日である。
国土交通省の旅客向けの資料は、ルールを7つに分けて並べていて、「NEW!令和8年4月24日から」の囲みに入っているのは後ろの3つである。
前からあるルール
1. 預ける荷物(受託手荷物)に入れない
2. 160Whを超えるものは持ち込み禁止
3. ショートしないように1個ずつ保護する
4. 座席上の収納棚に入れない
2026年4月24日から加わったルール
5. モバイルバッテリーは2個まで
6. 機内で、モバイルバッテリーを充電しない
7. 機内で、モバイルバッテリーから他の機器を充電しない
∴ 45,800mAhのような160Whを超えるモバイルバッテリーは、新しいルールの前から持ち込めなかった。
100Whの線は、もう関係ありませんか?
関係ある。国土交通省の旅客向けの資料は、「2個まで」の図の中で、100Whを超えるかどうかで分けて描いている。
図に出てくる「予備の電池」は、資料では「デジタルカメラ等の電子機器の予備バッテリー」「電子機器から取り外したもの」とされている。
| モバイル バッテリー (2個) |
予備の電池 100Wh以下 |
予備の電池 100Wh超〜 160Wh以下 |
|---|---|---|
| 2個とも 100Wh以下 |
個数制限なし | 2個まで |
| 2個とも 100Wh超〜 160Wh以下 |
個数制限なし | 持込み不可 |
| 100Wh以下1個と 100Wh超〜 160Wh以下1個 |
個数制限なし | 1個まで |
出典:国土交通省「【旅客の皆様へ】モバイルバッテリーの持込みについて」の図を、表に書き直した。
3つの場合を並べると、100Wh超〜160Wh以下のものは、モバイルバッテリーと予備の電池を合わせて2個に収まるように描かれている。
カメラの予備の電池なども持っていく人は、モバイルバッテリーを100Wh以下にしておくと、予備の電池の側の枠が残る。
何が「モバイルバッテリー」に数えられますか?
国土交通省の資料は、モバイルバッテリーをこう定めている。
「リチウムイオン電池を内蔵するもの」「他の電子機器を充電する目的のもの」
スマホやハンディファンのように、電池が入った機器そのものが「2個」に入るかどうかは、国土交通省の資料には書かれていない。この記事では扱わない。
また資料には、航空会社によってはこれより厳しいルールを設けている場合があるので、各航空会社の指示に従うように、とも書かれている。乗る便の航空会社の案内も確かめてほしい。
楽天の売り場では、何件が線を越えますか?
2026年9月12日、楽天市場を「モバイルバッテリー」の1語で検索し、600件を集めた。検索語に容量や飛行機の語は入れていない。
そこからポータブル電源・ケース・中古・バッテリー付きの服(電熱ベスト・空調ベスト)など、モバイルバッテリー本体でないものを外し、494件を数えた。
494件のうち482件(97.6%)は、容量(mAh)を書いていた。その482件のうち、Whも書いていたのは101件(21.0%)で、5件に1件だった。
「10000mAh 20000mAh」のように容量違いを並べた出品は、どの容量を買うか決まらないので混ぜず、容量が1つだけの288件で数えた。
| Whの目安 | 件数 | 飛行機 |
|---|---|---|
| 100Wh以下 | 263件(91.3%) | 持ち込める |
| 100Wh超〜 160Wh以下 |
15件(5.2%) | 持ち込める (予備の電池と 合わせて2個) |
| 160Wh超 | 10件(3.5%) | 1個も持ち込めない |
Whを書いている出品はその数字を、書いていない出品は3.7Vで計算した目安を使った。
160Whを超えた10件は、45,800mAhが3件、50,000mAhが3件、56,800mAhと58,800mAhが1件ずつ、60,000mAhが2件だった。
いちばん小さい45,800mAhでも、3.5Vで計算して160.3Whになる。∴ 電圧を低めに見ても、10件とも160Whを超える。
そして10件とも、Whを書いていなかった。
箱の数字(mAh)しか書いていないので、売り場の表示だけでは、160Whの線を越えているかが分からない。上の早見表で直すと、ここで初めて分かる。
(100Wh超〜160Wh以下の15件もWhを書いておらず、3.7Vの目安で数えている。15件には、メーカーが99.54Whとしている27650mAhのAnker Primeが1件入っている。)
では、どの容量を選べばいいですか?
2個までになった今は、1個あたりの容量で考えるとよい。
- 10000mAhを2個持つより、20000mAhを1個にする……同じ量を1個で持てて、2個の枠が1つ空く。20000mAhは3.7Vの目安で74Whなので、100Whの線まで余裕がある
- 軽さを取るなら10000mAh……MOTTERUの10000mAhは、メーカーが「36Wh」と書いているので、自分で計算しなくてよい
⚠️ どちらも、機内では使えない。国土交通省のルールで、機内でモバイルバッテリーから他の機器を充電することは禁止されている。使うのは、空港や、着いた先である。
PSEは確かめましたか?
確かめた。PSE(電気用品安全法の基準に合っていることを示すしるし)が確認できないモバイルバッテリーは、この記事では取り上げない。
- MOTTERU「MOT-MB10001」……メーカーの公式ページに「PSEマーク 安心・安全のPSE適合商品です」
- Anker「A1384」……Anker自身の楽天の店(アンカー・ダイレクト楽天市場店)の説明に「PSE技術基準適合」
⚠️ 候補にしたUGREENの20000mAhは、メーカーの公開ページでPSEの記載を確かめられなかったので載せていない。PSEを取っていないという意味ではない。確かめられなかった、というだけである。
発火の原因の内訳は → モバイルバッテリー発火560件
選んだ2つ
メーカー自身の店で売られていて、メーカーがPSEの適合を書いているものから、10000mAhと20000mAhを1つずつ選んだ。10000mAhは、メーカーがWhまで書いているものにした。
MOTTERU 10000mAh(MOT-MB10001)|36Whメーカーの公式ページに「バッテリー容量36Wh」。Whが書いてあるので、自分で計算しなくてよい。メーカーの公式ページに「PSE適合商品」。軽さを取るならこの容量¥1,980 ★4.60 (2,085件)10000mAh・36Wh/MOTTERU ダイレクト 楽天市場店楽天市場で価格を見る
Anker Power Bank(20000mAh, 30W)|A138410000mAh 2個ぶんを1個で持てて、2個の枠が1つ空く。3.7Vの目安で74Whで、100Whの線まで余裕がある。Anker自身の楽天の店の説明に「PSE技術基準適合」。2個までなら、1個で足りる容量¥6,990 ★4.38 (263件)20000mAh・最大30W出力/アンカー・ダイレクト楽天市場店楽天市場で価格を見る
この記事で調べたこと
- ルール:国土交通省「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」(2026年4月14日の報道発表)と、旅客向けの資料「【旅客の皆様へ】モバイルバッテリーの持込みについて」。どちらもPDFの文字を自分で抜き出して読み、100Whで分けた図は画像にして目で確かめた
- 楽天の出品:2026年9月12日1時台に集めたもの。「モバイルバッテリー」の1語。楽天の標準の並び順(売れている順に近い)の上位なので、売れている商品に寄っている
- 数え方の確認:容量やWhを読み取る仕組みに、わざと紛らわしい例(「160Wh以下」「100Wh未満なので機内持ち込みOK」のようなルールの文、「10000mAh 15000mAh」のような容量違いの並び)を読ませ、正しく読めることを確かめてから数えた。最初は、説明文にあるルールの文の「160Wh」や「43,243mAh」を商品の数字として拾う誤りと、電熱ベストのようなバッテリー付きの服を数える誤りがあり、分布のいちばん端の出品を開いて気づいて直した
- Whの確かめ:WhとmAhの両方を書いている出品では、Wh÷mAhの中央値が3.70Vだった。書いてあるWhがmAhと物理的に合わない出品(3.0〜4.3Vの外)は、書いてあるWhを使わずに3.7Vの目安で数えた
- メーカーのWh:MOTTERUは日本の公式ページ、Anker Primeは米国の公式ページの記載
- 紹介した2つの価格:2026年9月17日9時台に楽天のデータで取り直した(初出の2026年9月12日2時は、楽天の商品ページの価格と楽天のデータの両方で確かめている)

