1階のルーターの電波が、2階の部屋に届かない。
中継機を1台 足せば直る、と書いてあるページは多い。
だが、中継機には2つの方式があって、片方は速さが半分になる。それをメーカー自身が書いている。
この記事にはアフィリエイトリンクを含みます。紹介した商品の価格・レビューは、WEX-1166DHPLのほうが2026年10月25日10時台、WEX-3000AX4/Dのほうが2026年10月21日1時台の楽天市場のものです(どちらも売り場を替えたため、本文を公開した2026年10月18日とは日が違います)。WEX-1166DHPLは、公開時に載せていた売り場の出品が2026年10月23日に楽天市場から無くなったため、同じ型式で同じ説明を載せている別の売り場の出品に差し替えました。売り場の件数は、2026年10月18日9時台に楽天市場で集めた出品で数えています。
結論から書く。
- 中継機は、親機との通信と、手元の機器との通信の2本を受け持つ。この2本に別々の電波(帯域)を使う方式と、同じ電波を交互に使う方式がある
- 同じ電波を交互に使う方式では、通信に2倍の時間がかかるので、速さが半分になる(バッファローが自社の製品ページに書いている)
- 楽天の中継機の新品405件のうち、どちらの方式かが読み取れたのは21件(5%)だった
- 🔴 「デュアルバンド」と書いてあっても、同時接続か切替かは分からない。その語がある55件のうち、34件は「デュアルバンド」とだけ書いてある
- 「5GHzには対応しておりません」と自分で書いている出品が74件(18%)。帯域が1つなら、同じ帯域で受けて送ることになる
- ∴ 買う前に見るのは「同時接続」の4文字。無ければ、半分になるかどうかが分からないまま買うことになる
半分になる理由は、メーカーが書いている
バッファローの製品ページ(WEX-1166DHPL)に、こうある。
デュアルバンド切替接続方式の場合、【親機-中継機】と【中継機-子機】の通信を一つの帯域の同じチャンネルを交互に使用するため、通信処理に2倍の時間がかかり、通信速度が半減してしまいます。
同じページに、別々の電波を使う側の説明もある。
一つの帯域のみを中継する方式の場合は、通信速度の低下が見られますが、本商品はそれぞれ異なる帯域で中継するため通信速度が半減しません。
ここでいう「帯域」は、電波の種類のことである。家庭用のWi-Fiでは 2.4GHz と 5GHz の2種類が使われていて、以降は帯域と書く。
中継機は、親機から受け取って、手元の機器へ送り直す。この2本を同じ帯域の同じチャンネル(同じ周波数の通り道)で順番にやると、1回ぶんの通信に2回ぶんの時間がかかる。だから半分になる。別々の帯域を使えば、同時にできるので半分にならない。
🔑 これは製品の優劣ではなく、方式の違いである。そしてどちらの方式かは、箱の外からは分からない。
では、売り場で見分けられるのか
楽天で「WiFi中継機」の1語を引いて533件を集め、中継機の本体に絞った497件(新品405件・中古92件)を数えた。
| 新品405件の商品ページに書いてあること | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 電波が届く・強くなる・範囲が広がる | 159件 | 39% |
| 「デュアルバンド」などの語がある | 55件 | 14% |
| 方式が読み取れる(同時接続・トライバンド) | 21件 | 5% |
| 速さが落ちることに触れている | 15件 | 4% |
「電波が届く」は159件(39%)が書いている。だがそれは届く範囲の話で、届いた先での速さの話ではない。両方を書いているのは、159件のうち12件だった。
「デュアルバンド」だけでは決まらない
ここがいちばん間違えやすい。
「デュアルバンド」(デュアル=2つ。2つの帯域を扱えるという意味)は、扱えるというだけである。
その2つを同時に使うのか、切り替えて使うのかは、別のこと。そして半分になるかどうかは、後者で決まる。
楽天の新品405件のうち、
- 「デュアルバンド」などの語がある 55件
- そのうち「同時接続」「トライバンド」まで書いてある 21件
- 「デュアルバンド」とだけ書いてある 34件
この34件は、速さが半分になる方式かどうかが、商品ページからは決まらない。
🔴 だから「デュアルバンドと書いてあるから大丈夫」とは読めない。
見るのは「デュアルバンド」ではなく、そのあとに「同時接続」と続いているかどうかである。
商品名にメーカー名が出ていない243件では、0件だった
| 商品名に出ているメーカー名 | 新品405件のうち | 方式が読み取れる |
|---|---|---|
| メーカー名が出ていない | 243件 | 0件 |
| TP-Link | 77件 | 5件 |
| BUFFALO | 49件 | 16件 |
| I-O DATA | 19件 | 0件 |
| エレコム | 17件 | 0件 |
この表は「商品名にメーカー名が出ているか」で分けたもので、実際の製造元の内訳ではない。
たとえば TP-Link の RE600X/A は、商品名にブランド名を出していないので「出ていない」側に入っている。
⚫ 書いていないことは、店の落ち度ではない。方式の表示を義務づける決まりは無い。
⚫ 書いていない出品が切替方式だ、という意味でもない。言えるのは「商品ページからは決まらない」までである。
🔑 それでも、BUFFALO でさえ49件中16件である。同じメーカーの同じ型でも、書いてある出品と書いていない出品が並んでいる。
もう1つの手がかり|「5GHzには対応しておりません」と書いてある74件
新品405件のうち74件(18%)は、商品ページに自分でこう書いている。
- 「5GHzには対応しておりません」 53件
- 「5GHzには対応していません」 13件
- 「5GHz非対応」 8件
帯域が1つしかなければ、親機から受けるのも、手元の機器へ送るのも、同じ帯域でやることになる。
バッファローは、その場合をこう書いている。
一つの帯域のみを中継する方式の場合は、通信速度の低下が見られますが、本商品はそれぞれ異なる帯域で中継するため通信速度が半減しません。
この74件に、方式を書いていた出品は1件も無かった。書く必要が無い、とも言える。
🔴 逆は言えない。「5GHz」の字が無いからといって、帯域が1つとは限らない。
実際、5GHz の字が無いまま「同時接続」や「トライバンド」を書いている出品が3件あった(6GHz と書いているものなど)。
∴ 使えるのは「対応していない」と自分で書いている側だけである。
中古92件では、方式を書いていたのは1件
中古・訳ありの92件は、別に数えた。電波が届くとうたっていたのも1件、方式を書いていたのも1件だった。
中古の出品は、商品の説明そのものが短い。方式で選ぼうとするなら、中古の棚では手がかりがほとんど無い。
では、どうするか
1. 商品ページで「同時接続」の4文字を探す。あれば、半分にならない方式である
2. 「デュアルバンド」だけなら、そこでは決まらない。メーカーの製品ページで型番を引き直す
3. 「トライバンド」は帯域が3つある、という意味。この記事では読み取れる側に数えたが、どの帯域を中継に使うかまで書いていた出品は、533件の中に無かった。強いことは言えない
4. 「5GHzには対応しておりません」と書いてあれば、帯域は1つ。同じ帯域で受けて送ることになる
5. どうしても分からなければ、中継機ではなく有線を引く。壁や床をはさむなら、いちばん確実なのは電波を使わないこと
🔑 置く場所も効く。ただし「ここに置けばよい」と言える数字は、売り場にもメーカーのページにも無かった。
バッファローは置き場所の決め方そのものを機能として載せている=「LEDの点灯状態で電波の強度が分かるため、適切な設置場所を探すことができます」「スマートフォン用アプリの『中継機設置ガイド』で、親機、中継機、端末の通信状態が分かり、適切な設置場所が見つけられます」(同社の製品ページ)。
∴ 置き場所は、買ってから本体のLEDとアプリで決めるものとして売られている。
実物2点
方式を書いている側から、安いほうと新しいほうを1つずつ挙げる。どちらもバッファローで、電波を出す機器なので、技適(電波法の技術基準に合っていることの証明)を番号まで確かめた。総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で型式から引いている(2026年10月18日10時台)。番号は工事設計認証番号(同じ設計の製品をまとめて認証したときに付く番号)である。
- WEX-1166DHPL=工事設計認証番号 003-240001(令和6年4月19日・(株)ディーエスピーリサーチ)
- WEX-3000AX4/D=工事設計認証番号 003-240169(令和6年8月29日・同)
半分になる理由まで書いてある|バッファロー WEX-1166DHPL商品ページに「デュアルバンド切替接続方式の場合、…通信処理に2倍の時間がかかり、通信速度が半減してしまいます」と、他方式との違いまで書いてある数少ない出品。本機は別々の帯域で中継するので半減しない。866+300Mbps、コンセントに直接挿す形。方式を文章で説明している¥4,180 レビューなし技適 003-240001/866+300Mbps/イートレンド楽天市場で価格を見る
新しい規格のほう|バッファロー WEX-3000AX4/D商品ページの特長に「デュアルバンド同時接続に対応」と書いてある。Wi-Fi 6(11ax)対応で2401+573Mbps。ノイズで切れたときに空いている帯域へ移る機能も書かれている。コンセントに直接挿す形。「同時接続」と書いてある¥8,280 ★4.52 (21件)技適 003-240169/2401+573Mbps/イートレンド楽天市場で価格を見る
⚠️ この2点は「方式が読み取れる21件」から選んだのであって、性能を比べて選んだのではない。
⚠️ レビュー件数は、安いほうが0件・新しいほうが21件である(2026年10月29日1時台に楽天市場APIで引き直した)。
⚫ ここには 2026年10月29日まで「4件と21件」と書いてあった=安いほうのカードを2026年10月25日に別の売り場の出品へ差し替えたため、差し替え前の出品のレビュー件数がそのまま残っていた。差し替えの経緯は 09_データ/kaizen-ledger.md の 2026-10-25 に書いてある。
⚫ 新しいほう(WEX-3000AX4/D)は、2026年10月21日1時台に売り場を替えた。前の売り場が在庫切れになったため、同じ型番・同じ値段(¥8,280)の別の売り場に差し替えた。
買わなくていい場合
- 2階でも速さに不満が無いなら、買わなくていい。中継機は届く範囲を広げる道具で、元の速さを超えることはない
- いま使っているルーターの箱の数字を上げても、手元の機器の上限は変わらない。そちらはWi-Fiルーターの記事に書いた
- 有線を引けるなら、そのほうが確実である。ケーブルの値段の差についてはLANケーブルの記事に書いた
この記事で調べたこと
- 楽天の出品:2026年10月18日9時台に集めたもの。「WiFi中継機」の1語で20ページ(各30件)を引き、商品コードの重複を1件にまとめて533件(楽天が返した総件数は644件)。
そこから中継機の本体だけを残して497件(新品405件・中古92件)。除いたのは36件=レンタルの延長プラン18件/「中継器対応」としか書いていないカメラ・レコーダー12件/取付部品3件/商品名に中継機の語が無い3件。
🔴 「中継機」の語を含むだけでは外していない。外したのは「それ自体が中継機ではない」と言えるものだけである。除いた36件は全部 読んでいる。
⚫ 標準の並び順(売れている順に近い)の上位なので、売れている出品に寄っている。
- 方式の数え方:「デュアルバンド同時」「2バンド同時」「同時接続方式」「同時使用でき」「二つ帯域を同時」「トライバンド」のいずれかがあるものを「読み取れる」とした。
🔴 狭く数えると16件になる。広いほう(21件)を採った。狭いほうを使うと、結論が自分に都合のよい向きへ偏るためである。
✅ 「メーカー名が商品名に無い243件で0件」は、無作為に10件 開いて読んで確かめた。10件とも方式の記載は無く、うち8件は「2.4GHz 300Mbps」だけの出品だった。
⚫ 狭い数え方から広い数え方で増えた5件は、全部 BUFFALO の群から来ている(同じ型を売る5店が、メーカーの長い説明をそのまま載せている)。243件の側は、どちらの数え方でも0件である。
⚫ 「トライバンド」も読み取れる側に数えた。ただしどの帯域を中継に使うかまで書いていた出品は、533件の中に無かった(「専用バンド」の語がある1件も、混雑を避ける話として書かれている)。
- メーカーの記載:バッファローの製品ページ(WEX-1166DHPL/WEX-5400AX6)を2026年10月18日10時台に読んだ。
- 技適:総務省 電波利用ポータル「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で、型式から引いた(2026年10月18日10時台)。
- 件数は出品の数で、商品(型番)の数ではない。同じ商品を複数の店が売る分も含む。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。売り場の件数は2026年10月18日9時台に楽天市場の商品ページ(検索語「WiFi中継機」/標準の並び順の上位600件)から数えたもので、出品の数であり、商品(型番)の数ではありません。価格・レビューは2026年10月18日10時台のもので、閲覧時点とは異なる場合があります。通信方式・速度の説明は各商品ページおよびメーカーの製品ページの記載で、当サイトが測ったものではありません。方式を書いていない出品が切替方式であるという意味ではなく、商品ページからは判断できないという意味です。

